2024年4月24日から開催の「川上楓月 個展『福来たる』」。
鉛筆画で表現された繊細な和と狛犬の世界にたくさんの方が惹きこまれています。
実は今回が初個展の川上さん。いろんな想いを抱いて、今個展開催のため、横浜から大阪 八尾へと入られます。
会期も残すところあと一日となりましたので、今個展の作品と川上楓月さんに作品制作への思いをおうかがいしましたのでご紹介いたします。
『皐月の夜』
▲ジャパンあるてぃすと展2022グランプリ受賞作品。
破魔矢を加える凛々しい狛犬。繊細な鉛筆画作品に菖蒲の花と蛍の差し色が五月の爽やかで高貴な空気を演出します。
蛍は蓄光絵具で暗闇で仄かに光ります。
［JA展2022 グランプリ「皐月の夜」講評］
対の阿吽の狛犬でもなく深い竹林の中央に配された幻獣。
加えられた矢が世俗との結界を意味しているのだろうか？
森の奥の世界に引き込むような構成、色数を抑えての象徴的に色彩配置した画面構成が互いにつながりを持って印象に残る。
只、うちに向けてのまとまりが強く、外への放射がない分、画面構成が5倍10倍となるとどう克服していくのかという課題は残る。
ある意味歴史深く、静かな聖域を守る聖獣の目に映る、この争いの途絶えない騒々しい現実世界を逆に風刺的に描き出した作品ともとらえられた。
多々習作がある中、多くの観覧者の心を動かした完成度の高い本作品をグランプリに推挙させていただきました。
「最初はアニメや漫画のイラストを描いていました。ある日模写した龍がとても好評で、それがきっかけで絵の道を志すようになりました。」
絵の道に入られ、最初は独学で絵を学ばれていた川上さん。のちに「yamate美術セミナー」に入門。そこで鉛筆画にによる「ドイツ式デッサン」を習得され、鉛筆での作品制作を本格的に始められます。
「和のものが好きで最初は鉛筆で龍をメインに描いていました。」
『荒波の龍』
▲全長2mを超える龍の大型作品。漆黒の空と波飛沫の間を翔る雄々しい龍。巨大な画面に根気よく鉛筆を塗り重ねて描かれた作品は圧巻です。
活動初期は”川上翔雲”という作家名で龍を描いていた川上さん。
ところが、様々な辛い出来事がきっかけで龍が描けなくなってしまいます。
「大好きな龍が描けなくなってしまったのはとても辛かったです。何を描いて良いか分からなくなってしまった時に、狛犬という存在と出会いました。」
起源はペルシャ、インド、古代オリエントの獅子、高麗から伝わった犬など様々な伝来、変遷の説がある「狛犬」という神獣。そのミステリアスで、絶対的なものに定まっていないある意味不確かな存在に川上さんは惹かれていきます。そして、狛犬をモチーフに作品を描くようになられ、作家名も”川上楓月”と改められます。
『夏の夜』
▲個展『福来たる』メインビジュアル作品。
穏やかな顔を讃える狛犬。草原を翔る風と満天の夜空、実りを迎えた鬼灯に希望を感じさせます。扇面型支持体の選択が大変作品に合っており、とても気品に溢れています。
『瓢箪からコマ』
▲他の狛犬作品とは打って変わって、瓢箪から現れる猛々しい表情を浮かべた狛犬。丁寧な鉛筆の塗重ねによるグラデーションとコントラスト、印影がとても美しく、小サイズの作品ながら大変な存在感を放っています。
「これからもさらに狛犬や和のテーマを追求し、作品を制作していきたいです。そしてもっと成長できるように、いろんな美術展やコンペに作品を出展し、挑戦していきたいです。」
辛い出来事を乗り越えられ、新たな扉を開かれた川上さん。茶吉庵でのJA展グランプリ受賞と、今初個展『福来たる』が川上さんの次なるステップの一助になれたこと、とても嬉しく感じております。
茶吉庵ギャラリーはこれからも川上楓月さんを応援し、その活動を追って参ります。
川上楓月 個展『福来たる』
「ジャパンあるてぃすと展2022」グランプリ受賞 記念
◆開催日時
2024年4月24日（水）〜4月29日（月）
12:00 ～ 18:00まで
（最終日は16：00まで）
※入場無料
◆開催場所
茶吉庵 和室ギャラリー
〒581-0883大阪府八尾市恩智中町3丁目－1
公共交通機関をご利用の場合は「JR環状線 鶴橋駅」から乗換え「近鉄 鶴橋駅」へ。「近鉄大阪線」普通にて「恩智駅」下車。 徒歩8分。
◆お問合せ
Tel：072-943-7007
E-mail：info@chakichian.co.jp
◆備考
・近鉄大阪線「恩智駅」下車 徒歩8分。
・会場に駐車場はございません。お車でお越しの際は駅周辺のコインパーキングをご利用下さい。
・駐輪スペースは茶吉庵入口前と森の地蔵前になります。
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