【レポート】根源の原点『城野真由 JONO MAYU ベンガラ染めアート展 ~あめつち~』

【レポート】根源の原点『城野真由 JONO MAYU ベンガラ染めアート展 ~あめつち~』

10月28日から開催の『城野真由 JONO MAYU ベンガラ染めアート展 ~あめつち~』
開幕初日から途切れることなくたくさんの方にご来場いただいております。やさしく素朴な味わいを醸し出すベンガラ染め作品は多くの方を惹きつけ、続々とお迎えもいただいております。
ブログでは今展の代表作や、城野さんの作品制作やモチーフ、ベンガラをはじめとする素材へ思いをおうかがいしましたので、ご紹介してまいります。

『足もとの世界2021-Ⅰ』

【ベンガラ染め】
土から採れる染料で、酸化鉄が主成分。
縄文土器や弥生土器、遺跡、ベンガラ格子、九谷焼などに使われている赤い色がベンガラです。
近年は土の燃焼温度や配合などにより様々な色合いがあります。
土から青色は採れないので青は植物の藍による染料です。
酸化鉄、定着剤として天然ゴム、水によるベンガラ染料は土に還り、環境にも優しい染料で、深く柔らかい色合いが特徴です。

『根を張る』

▲今個展DMのメインビジュアルを飾った作品。ベンガラ染めらしい酸化鉄の濃く深い赤色がとても魅力的です。白く染め抜かれた木の枝と根の部分が今展のタイトル”あめつち(天地)”を象徴しています。

『Under the ground』

▲Gallery Blau Katze主催「第5回FUKA展」にて茶吉庵ギャラリー賞を受賞した作品。染色と刺繍による細かな模様には地中に生きる微生物の胎動が感じられます。

『FUKA展出展作品』



▲過去のFUKA展とその選抜展「FUKA+PLUS」に出展された作品群。規定されたサムホールサイズの画面には城野さんの作品テーマである微生物と自然のエッセンスが凝縮されています。

『MAP ~手がかりとなるもの~』



▲錆ペイントを施したパネルに敷き詰められた聚楽土と、植物繊維を編み上げて作られ、張り付けられたオブジェクトは太古に生きていた謎の生物の標本のようです。城野さんが学生時代に制作された作品で1998年開催のアーティスト・ブック「THE LIBRARY 1998」に出展。本状に折りたためるギミックも城野さんの制作です。「まちライブラリー」があり「ビブリオバトル」と本のイベントがある築280年の茶吉庵の存在に合わせて24年の時を超えご出展くださいました。本はあらゆる時空を行き来できる、何かの手がかりとなる、地図のようなものという意味を込めてMAPというタイトルがつけられました。

『Mother earth 2022』




▲今展のインスタレーション作品。粘菌、胞子、微生物、見る人によってイメージは様々ですが、土に生きる小さな生物の営みがそのまま大きく具現化されたような作品です。きらきら輝く中央の真鍮の針金が、生命の芽吹きを彷彿とさせます。

『胞子の旅 No.10』


▲「胞子の旅」シリーズのタペストリー作品。ベンガラ、綿、絹、流木と全て自然の素材でできた作品は日常空間にやさしく溶け込む、とてもあたたかな仕上がりとなっています。

「ベンガラは私の作品制作・作家活動の核になり、ベンガラを中心にいろんなものが繋がっていきました。」

子どもの頃から刺繍や編み物などがお好きだった城野さん。
いろんなものを作っていくうちに、アートの世界へ興味が広がり、大学でテキスタイルの道へと進まれました。

今回、城野さんに作品制作やベンガラ染めへの思いをおうかがいしましたのでご紹介いたします。

ベンガラ染めを始められたきっかけ
「以前は化学染料なども用いて制作を行っていました。ただライフステージの変化と共に制作スタイルも変化していく中、あるワークショップを開くことをきっかけにベンガラ染めに出会いました。ベンガラ染めは火を使わず水だけで染色することができ、素朴で優しい色合いを出すことができる点がとても気に入っています。最近では技術の進歩でいろんな色のベンガラ染料もでき表現の幅も広がっています。」

作品のモチーフ
「菌や微生物が好きで作品のモチーフにも取り入れています。ミクロの世界の生き物がいろんな生き物や私たちの生活にも繋がって、自然が循環していくところに壮大な自然の素晴らしさを感じます。」


▲城野さんの制作の原点となった書籍。

これからの作品制作について
「私の作品もベンガラ染めとの出会いで世界が広がりました。ベンガラ染めを中心にいろんな表現や素材をとりいれて、これからもアートとしてのベンガラ染め作品、テキスタイル作品を作っていきたいです。」


▲高い親和性を持つ自然素材とミクロ世界の生き物。城野さんの作品はフレームを越えて外の世界へもイメージが広がっていきそうです。

ベンガラ染め・テキスタイル作家 城野真由さん。
茶吉庵での個展開催は元河内木綿問屋という過去の側面も再び現代へと引き上げてくださり、茶吉庵にとっても原点に立ち戻る展覧会となりました。
おなじく繊維を扱うルーツを持つ処として、城野さんのこれからの作家活動をぜひ追いかけていきたいです。

城野真由 ベンガラ染めアート展 ~あめつち~

◆開催日時
2022年10月28日(金)~11月2日(水)
12:00~18:00まで
(最終日は16時まで)
※入場無料

◆開催場所
茶吉庵 米蔵ギャラリー
大阪府八尾市恩智中町3丁目-1
公共交通機関をご利用の場合は「JR環状線 鶴橋駅」から乗換え「近鉄 鶴橋駅」へ。「近鉄大阪線」普通、区間準急にて「恩智駅」下車。 徒歩8分。

◆お問合せ
Tel:072-943-7007
E-mail:info@chakichian.co.jp

◆備考
・近鉄大阪線「恩智駅」下車 徒歩8分。
・会場に駐車場はございません。お車でお越しの際は駅周辺のコインパーキングをご利用下さい。
・駐輪スペースは茶吉庵入口前と森の地蔵前になります。

   

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