2025年11月26日より開催の「鴨川抄子 個展 艶を生ける」
【艶やか(あでやか・つややか)】
《潤い、光沢があって美しいさま》
《上品で美しく、華やかでなまめかしいさま》
艶やかという言葉はまさに鴨川さんの作品を象徴する言葉のように感じます。
漆芸というとお椀などの塗りを思い浮かべますが、あらゆる素材を駆使し、自由な発想で生み出される鴨川さんの艶やかな漆作品に多くの方が驚きとともにご覧になられ、心を揺さぶられております。
最終日前日となりましたので今回出展の作品展示と鴨川さんへ作品制作、作家活動の思いをご紹介して参ります。
『記憶』

▲ジャパンあるてぃすと展2024グランプリ受賞作品
銀箔の月が浮かぶ夜空
流木の大地
中空を舞う螺鈿の羽を纏う黒漆の蝶
その情景はまさに“優雅”という言葉そのものです。
[JA展2024 グランプリ「記憶」講評]
漆、箔、螺鈿細工と様々な日本技巧を駆使し、伝統工芸の良さを残しつつ、アートまで作品を昇華させた作品は、まさに『ジャパンあるてぃすと展』グランプリ作品にふさわしい珠玉の逸品です。

「昔からものを作ったり、木の実や貝殻などを集めるのが大好きでした。」
子どもの頃から、いろんな素材を集めることが大好きだった鴨川さん。プラモデルやジオラマなど、ものを作ることもお好きだったので、建築系の大学に進学されます。そして、キャンパスであるものを見つけられます。
「大学に大きなヒマラヤ杉が生えていて、その球果にとても心惹かれました。昔からプラモデルやジオラマなどものを作ることも好きだったので、なんとかこれを生かしたいと思い、いろんな技法を試しました。結果、一番しっくりくるのが漆塗りでした。教室の先生に相談すると最初は驚かれましたが、快く快諾してくださいました。」
『漆の赤薔薇コサージュ』

▲シダローズと呼ばれるバラの花の形に似ているヒマラヤ杉の球果。赤漆を塗ると光沢のある赤い薔薇そのものです。
「いろんなものに塗れる!手ごたえを感じました。家には私が子どもの頃から集めたたくさんの素材が眠っています。これを作品にしたい! 私の漆塗り作家としての人生が始まりました。」
『うまれる、』


▲切り株から生まれ出るヒコバエの生命力を漆で表現した作品。切り倒されても再び生えてくる新しい木の脇芽を漆の艶と濡れ感で美しく表現。普段忌み嫌われがちな蠅も螺鈿を用いて煌びやかな輝きを放っています
宝塚市手工芸公募展 入選作品
『osteologia』


▲今展で唯一漆を使っていない作品。“骨学”と名付けられたアナトミカルな作品は流木と漆喰、貝殻でできており骨の強さを表現。先端にとまる蝶は骨髄で作られる血液を象徴しています。
アナムネ展 カンファレンス賞 受賞作品
『深淵から』


▲木の瘤の流木と枝流木を使って蛸をかたどった漆作品。樹皮の残る瘤の形と漆の艶、八方に伸びる枝流木の足、虎目石の瞳、今にも這い出しそうな本物以上になまめかしい蛸に仕上がっています。
今展話題沸騰の新作です。
固定観念にとらわれない鴨川さんの漆塗り作品。
ご結婚を機に更なる発想と表現の幅が生まれます。
「ある時、夫に写真を撮ってもらったのですが、それがとても上手で心がときめきました。今まで“性”をテーマやモチーフにした作品はありませんでしたが、それがきっかけで“性”にまつわる作品が生まれました。」
『産声』


▲新たな生命の誕生を表現した作品。女性器を彷彿とさせる漆塗りの赤貝、細胞を彷彿とさせるドライフラワーと静かに添えられた白い羽が神秘的な雰囲気を醸し出しています。
鴨川さんが”性”をイメージして制作された初作品
その後生みだされた“性”をテーマした作品

▲性(向かって左作品)・命の根(向かって右作品)
「漆芸立体作家となって2年目。漆芸立体作品の初個展を茶吉庵さんの開催させていただけたことは、私にとってとても大きな励みになりました。これまでいろんな表現に挑戦してきましたが、本当の意味で「漆芸」を名乗るにはまだまだです。なので、これからは漆技術の精度をもっともっと高めていきたいです。直近では漆絵を作りたいです。また螺鈿や箔など、加飾技術にも磨きをかけて、より洗練させた作品を皆様のお目にかけられるよう腕を磨いていきたいです!」
そして高みを目指して、更なる研鑽を積んでいかれるようとしている鴨川抄子さん。
今個展が鴨川さんの漆芸立体作家としての活動の一助となれましたこと、とても嬉しく感じております。
更に精度が高まり進化した鴨川さんの漆芸立体作品。
これからも、茶吉庵ギャラリーは鴨川さんの活動を応援し追ってまいります。
鴨川抄子 個展『艶を生ける』
@kamogawa_shoko
◆開催日時
2025年11月26日(水)〜12月1日(月)
12:00 ~ 18:00まで
(最終日は16:00まで)
※入場無料
◆開催場所
茶吉庵 米蔵ギャラリー1階
〒581-0883大阪府八尾市恩智中町3丁目-1
公共交通機関をご利用の場合は「JR環状線 鶴橋駅」から乗換え「近鉄 鶴橋駅」へ。「近鉄大阪線」普通にて「恩智駅」下車。 徒歩8分。
◆お問合せ
Tel:072-943-7007
E-mail:info@chakichian.co.jp
◆備考
・近鉄大阪線「恩智駅」下車 徒歩8分。
・会場に駐車場はございません。お車でお越しの際は駅周辺のコインパーキングをご利用下さい。
・駐輪スペースは茶吉庵入口前と森の地蔵前になります。
【鴨川抄子 プロフィール】
漆芸立体作家
活動2年目(2025年現在)。
漆や貝殻、流木を使い、少しエロティックで、フェティッシュなアート作品を制作。
2023年9月「拘束展」ギャラリー方舟(ギャラリー方舟/大阪)
2023年11月「七人の魔女展2」(ギャラリーソラト/京都)
2024年2月「赤展」ギャラリー方舟(ギャラリー方舟/大阪)
2024年2月「幻灯舎企画展【美は乱調にあり】」(ギャラリーソラト/京都)
2024年3月「BodyでArtする展」ギャラリー方舟(ギャラリー方舟/大阪)
2024年5月「ジャパンあるてぃすと展2024」(茶吉庵ギャラリー/大阪)
2024年6月「現代春画展」(JARFO GALLERY/京都)
2024年9月「茶吉庵 百物語展 第五章」(茶吉庵ギャラリー/大阪)
2024年10月「アナムネ展【conference3】」(cafe Anamune/大阪)
2024年10月「宝塚市手工芸公募展」(ソリオホール/兵庫)
2024年12月「遊廓文学マーケット」(カストリ書房/東京)
2024年12月「生と死の巡礼」(幻灯舎スタジオ/京都)
2025年1月「びー玉コンペ・蛇とその仲間たち展」(ギャラリーびー玉/大阪)
2025年1月「ジャパンあるてぃすと2024えくすとら」(茶吉庵ギャラリー/大阪)
2025年6月「Family Tree」(茶吉庵ギャラリー/大阪)
2025年7月「ヌード展」(ギャラリーびー玉/大阪)
2025年10月「アナムネ展【conference4】」(cafe Anamune/大阪)招待出展
2025年11月「鴨川抄子 個展『艶を生ける』」(茶吉庵ギャラリー/大阪)
[受賞]
2024年5月「ジャパンあるてぃすと展2024」グランプリ
2024年10月「アナムネ展【conference3】」カンファレンス賞
2024年10月「宝塚市手工芸公募展」入選
2025年1月「びー玉コンペ・蛇とその仲間たち展」来場者投票3位
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