2023年5月5日より開催の「稲田浩 作家生活55周年記念展『鯨と戯れ 月と遊ぶ』」。
日本全国各地、海外からと連日たくさんのお客様にご来場いただき、大盛況となっております。
会期も残り一日となりましたので、今展覧会の出展作品と稲田浩さんの思いをおうかがいいたしましたのでご紹介いたします。
【鯨の鬚(ひげ)】
▲ヒゲクジラ類がもっている口の中の特殊な器官。上顎の皮膚が高質化したもので、鬚板とも呼ばれています。
「私は特に大きなこだわりというものがありません。美しいもの、あっと驚くようなものを楽しく自由な発想で作っていきたいです。」
新作 装身具・アクセサリー
▲海の廃材を取り入れた新作装身具。近年問題となるプラスチックによる海洋汚染とその対策から着想 考案された作品。塗りや他素材との組合せにより廃材とは思えない気品ある作品に仕上がっています。
和歌山ご出身の稲田さん。中学卒業後、地元の中和印刷紙器株式会社でグラフィックデザインに携わります。その一方で画家の小野教治氏に師事、抽象画を学びます。その後、22歳で上京、ジュエリー会社アーバンに入社。ジュエリーデザイナーとして全国の百貨店で個展を開催。40歳の時に和歌山の展示会でナガスクジラの鬚(ひげ)に出合い、魅了されます。当時国内で唯一クジラの鬚を使った工芸を手掛けていた小柳佐喜男さんから鬚板の扱いを習得し、その後、独学で作品を作られていきます。
鯨の絵画作品
▲30年前に銀座三越の個展開催に際し制作された大型作品。本来5枚1組で個展開催当時、揃って展示された時はその迫力に多くの人を賑わせました。江戸の錦絵をイメージしアクリルで描かれた作品は時を経た今も色褪せません。
鯨鬚金銀絵如意[げいしゅきんぎんえのにょい](復元中)
▲当時の朝日テレビ正倉院番組担当の牟田口氏の発案、奈良国立博物館の館長の承認を得て、稲田さんが現在チームで復元に取組んでいる1300年前にセミクジラの鬚で作られた正倉院の宝物。復元に際し、鯨類研究所の大隈氏はセミクジラの鬚板を私材提供されました。研磨が不可能に近い為、滑かな質感の復元に時間を要します。
鯨鬚金銀絵如意は正倉院の宝物です。 セミクジラの鬚で作られており、僧侶の威儀を整えるための僧具として使われていました。 一端を曲げて幅広の掌部を作り、四つの爪を刻み、表裏ともに金銀泥によって加飾され、掌を作る上方には霊芝雲、手で握る下方には花卉が描かれています。
私は2013年11月放送の朝日テレビ番組「正倉院宝物を写す」に出演し如意制作を再現して以来、この宝物の復元に取り組んでいます。
鯨工芸家・稲田 浩
「鯨の鬚は今も昔もとても貴重な素材です。手に入る時は全力で素材の持つ美しさ、面白さを作品に活かしていきたいです。ですが、鯨も限りあるかけがえのない自然物。無理に手に入れる必要はありません。手に入らないときはまた別のもので作品を作っていきます。世界には面白い素材、美しいはまだまだあります。」
デザイナーとして、鯨工芸家として、お若いころより数多の良き方に師事、講究を重ね、今も作品と向き合う稲田さん。研鑽を経て現れた独自の美しさを持つ作品と、その物腰柔らかなお人柄は多くの方を魅了し続けています。
稲田浩 作家生活55周年記念展『鯨と戯れ 月と遊ぶ』
◆会期:
2023年5月5日(金)~5月9日(火)
11:00~18:00(最終日は16:00)
◆会場:茶吉庵 米蔵ギャラリー
大阪府八尾市恩智中町3-1
米蔵ギャラリー
【1階 イベントスペース】
◆イベント
13:30~14:30
◇5月5日(金)
歌とギターのフラメンコライブ
cante 松林由美 guitarra ミゲロン
◇5月6日(土)
つーこけーこ55 Saturday
◇5月7日(日)
サプライズゲスト
◇5月8日(月)
ファドライブ
アコーディオン 中村メイ
ポルトガルギター 山本真也
シャンソン 陽花
【2階 展示スペース】
◆装身具の展示・販売
◆鯨鬚金銀絵如意(復元中)の展示
(げいしゅきんぎんえのにょい)
主催:稲田浩
◆YouTube番組の放映 あざみエージェント
「鯨に魅せられた男 ~装身具作家 稲田浩の軌跡~」
◇第1回「コロナ禍での再出発」
https://www.youtube.com/watch?v=V2aP-BloDKA
◇第2回「稲田浩の東京時代」
https://www.youtube.com/watch?v=V2aP-BloDKA
◇第3回「鯨に魅せられた男」(前編)
https://www.youtube.com/watch?v=xDE5Go5EiWA&t=2s
◇第4回「鯨に魅せられた男」(後編)
https://www.youtube.com/watch?v=GJhtifzSkc8&t=18s
◇稲田浩装身具作家五十五周年記念展 茶吉庵
https://www.youtube.com/watch?v=0CklzBzRPUc&t=84s
最終回は茶吉庵の個展(5月)の直後に配信予定です。
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